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なにわ会のブログ

海軍兵学校72期海軍機関学校53期海軍経理学校33期
日記 10月12日その2 海底新聞
潜水艦伊47に乗り込んで出撃した天武隊の横田兵曹(回天故障で発進できず生き残った)の手記を読まれた購読会員A氏のブログの転載です。(横田兵曹の手記から)
天武隊が伊47潜に乗り込んですぐのことです。
横田兵曹が士官室に行くと、そこに『”回覧”海底新聞』というタイトルのがついた、ペン書きの原稿綴りがありました。 表紙には墨で海原をゆく伊47潜の勇姿。下に発行人 軍医長、主筆 機関科・佐丸幹男と書かれてありました。
『ああ、あの元気のいい分隊士だな、と思いながらつぎのページを見ると、『回天特別攻撃隊 天武隊出撃賦』と題する、佐丸中尉の一編の詩が書かれてあった。
一、雲に映え また海面に映る
   花桜木の かおりと色は
   腰の剣と 脈打つ胸に
   共に通うや 姿や正気
   至大至剛の 心のもとに
   今ゆく道も 天賦の業と
   成して進まん 天武隊

二、塵と飛び また流れに濁り
   欲と物とに 汚れし味は
   生きて屍の 夷の腹に
   沁みてみせるや 修羅の巷
   五倫の道に はずれし国に
   今よりかざす 天賦の業を
   成して遂げなん 天武隊

三、万象めぐる 天地の中に
   日輪ひとつ 厳たり軸たり
   不動の位置に 無上の光
   秋津島根の 日嗣に似たり
   永久の光に 輝く土地に
   今授かりし 天賦の業を
   展べて拡げん 天武隊

何度も何度も、かみしめながら読んでみる。実にいい詩だと思った。』

伊47潜機関長附・佐丸幹男中尉。海軍機関学校53期出身。天武隊隊長の柿崎実中尉(海兵72期)とはコレスということになります。思いを込めてこの詩を作られたのだと思います。

出撃し1週間以上たった4月29日。
天長の佳節を祝して宮城遥拝。その後食事。
『食事がすむと、はりきって待っても、きのうみたいにソンをすると思ったから、神経を落ちつけようと思い、士官室で、通称編集長(海底新聞主筆佐丸中尉)とふたりで一対一のブリッジをやった。2時間ぐらいやったろうか。勝ってばかりいる。
「へただなあ分隊士は。たまには勝ってくださいよ。もうあきちまった」というと、
「はりきったやつにはかなわねえや。俺だって強いはずなんだぜ」とくやしそうな顔を見せた。ついていただけではないだろう。わざと花を持たせてくれたのかもしれない。
彼の『天武隊出撃賦』は前述したが、この人は若いのに、じつによくできた人であった。忙しい当直以外の暇をみて、からだを休めようともせず、乗組員全員の投稿を集めては、士官室でさかんにペンを走らせて海底新聞を作っている姿を何度か見かけた。私と新海には、特にたのもしい兄貴といった存在だった。
きのう発行のものに、『天長節を祝い、若桜の搭乗員に寄せる』と題して、つぎのような詩がのせてあった。

  翳せる桜 ひらと舞い
    出てゆく後の波の上
      清き散りぎわ見せにけり
  歓呼の声にゆらぐ胸
    必ず撃つと誓いつつ
      静かに捧ぐ挙手の礼
  岸辺の人の心にも
    通う思いは若桜
      万古に香れ九段坂
      万古に香れ九段坂

読みながら私は、海軍機関科の士官である彼の、いったいどこからこんなすばらしい詩がわきでてくるのだろうと、不思議にさえ思われた。あまり気に入ったので、この詩を手帳に書きとめ、亡き母の写真とともに、ポケットに入れておいた』


参考:横田寛『あゝ回天特攻隊』光人社NF文庫
注:『天長節を祝い・・・・』の詩は佐丸氏ご本人の手記には『多々良隊の華』という題で掲載されており、内容も微妙に違っている。
 かざせる桜 ヒラと舞い
  征で行く後の波の上に
   清き散り際見せにけり
 歓呼の声にゆらぐ胸
  必ずやると誓いつつ
   静かに捧ぐ挙手の礼
 岸辺の人の心にも
  通ふ思いは桜花
   万古に香れ九段坂
          なにわ会HP『柿崎中尉の思い出』佐丸幹男より
by naniwa-navy | 2008-10-12 17:19 | 日記
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